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有給休暇の日数早見表|パートも中小企業も付与ミスと年5日違反を防ぐ

有給休暇の日数早見表|パートも中小企業も付与ミスと年5日違反を防ぐ

「パートさんの有給休暇って、何日あげればいいんだろう」「去年と同じ日数で大丈夫かな」。私は社会保険労務士として、中小企業の労務に伴走しています。人を雇い始めたばかりの社長から、こうしたご相談がよく届きます。

先に答えをお伝えします。有給休暇の日数は「勤続年数」と「週の所定労働日数」の2つで決まります。フルタイムなら勤続6か月で10日、その後は毎年増えて、6年6か月以上で年20日が法律上の最低ラインです。週4日以下で週30時間未満のパート・アルバイトは、働く日数に応じた「比例付与」になります。さらに年10日以上付与される人には、会社が年5日を取得させる義務がかかります。

項目前年調査(2023年)最新調査(2024年)出典
平均付与日数16.9日18.1日厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」(2025年12月)
平均取得日数11.0日12.1日同上
平均取得率65.3%66.9%(過去最高)同上
政府目標―2028年までに取得率70%以上過労死等防止対策大綱

本記事では、正社員とパートの付与日数の早見表と、日数を間違えやすいポイントをご紹介します。あわせて、建設業の現場での考え方や、年5日の取得義務と管理の方法もまとめました。日々の労務管理のお役に立てれば嬉しく思います。

INDEX≡目次

有給休暇の日数は「勤続年数」と「週の所定労働日数」で決まる

有給休暇(年次有給休暇)の日数は、労働基準法第39条で最低ラインが定められています。決め手は「どれだけ長く勤めているか」と「週に何日・何時間働く契約か」の2つです。会社の規模や業種、正社員かパートかという呼び名では変わりません。

まずは付与の条件と、日数が増えていく仕組みを押さえておきましょう。ここを理解しておけば、この後の早見表もすっと頭に入るはずです。

付与の2つの条件|6か月の継続勤務と全労働日の8割以上の出勤

有給休暇が発生するには、2つの条件を満たす必要があります。1つ目は、雇い入れの日から6か月間、継続して勤務していること。2つ目は、その期間の全労働日の8割以上を出勤していることです。

「全労働日」とは、就業規則や契約で働くことになっている日の合計のことです。たとえば6か月で120日の勤務予定があれば、96日以上出勤していれば条件を満たします。

この2つを満たした日を「基準日」と呼びます。4月1日入社なら、10月1日が最初の基準日です。それ以降は、基準日から1年ごとに新しい日数が付与される流れです。

初年度は10日、最大で年20日まで増えていく仕組み

最初の基準日に付与されるのは、フルタイムの方で10日です。その後は1年ごとに、11日、12日、14日、16日、18日と増えていきます。勤続6年6か月以上になると、年20日が法律上の上限ではなく「最低ライン」の到達点です。

勤続2年6か月までは1日ずつ、3年6か月からは2日ずつ増える点が特徴です。「毎年1日ずつ増える」と覚えていると、3年目以降で付与漏れが起きてしまいます。

たとえば2019年4月に入社した社員さんなら、2025年10月に勤続6年6か月を迎えて20日の付与です。勤続年数は人によって違います。一人ひとりの基準日と勤続年数を記録しておくことが、正しい日数を出す近道と言えます。

勤続年数別の有給休暇の付与日数(フルタイム)
週30時間以上、または週5日以上働く方の法定付与日数です。
10日
+1日11日
+1日12日
+2日14日
+2日16日
+2日18日
+2日20日
6か月
1年6か月
2年6か月
3年6か月
4年6か月
5年6か月
6年6か月以上
1日ずつ増える期間3年6か月からは2日ずつ増える
出典:労働基準法第39条第2項。6年6か月以上は毎年20日で一定です。

「法定の日数」は下限|就業規則で上乗せするのは自由

法律で決まっているのは、あくまで最低限の日数です。会社が就業規則で「入社日から5日付与する」「勤続10年で25日にする」と上乗せすることは自由にできます。

一方で、法律より少ない日数を定めても、その部分は無効です。私がご相談を受ける中でも、昔の雛形のまま「初年度6日」と書かれた就業規則を見かけることがありました。気づいた時点で見直せば十分に間に合いますので、安心してください。

採用や定着を考える会社なら、上乗せも一つの選択肢です。休みやすい職場は、それ自体が採用の強みになります。人を活かして、経営に力を。そんな考え方の第一歩とも言えるでしょう。

【早見表】正社員(フルタイム)の有給休暇の付与日数

週30時間以上働く方、または週5日以上働く方には、下表の「通常の付与日数」が適用されます。契約上の呼び名がパートやアルバイトでも、この条件に当てはまれば正社員と同じ日数です。

雇用形態の名前ではなく、実際の契約内容で判断する。ここが、付与日数を正しく決めるための出発点です。

継続勤務期間付与日数増え方のポイント
6か月10日初回の付与(年5日の義務も開始)
1年6か月11日1日の増加
2年6か月12日前年より1日多い
3年6か月14日ここから増え幅が2日に
4年6か月16日2日の増加
5年6か月18日前年より2日多い
6年6か月以上20日最大の20日(以後は一定)

※出典:労働基準法第39条第2項(週30時間以上または週5日以上の労働者が対象)

勤続6か月で10日、6年6か月以上で20日

フルタイムの方は、最初の基準日から年5日の取得義務の対象です。付与が10日以上になるためです。つまり、入社して半年たった社員さんには、その日から1年以内に5日を取ってもらう必要があります。

勤続年数は、正社員として採用された日ではなく「最初に雇い入れた日」から数えるのが原則です。パートから正社員に切り替わった方も、パート時代の期間を通算して考えます。

よくあるのが、試用期間を勤続年数から外してしまうケースです。試用期間も雇用契約の期間なので、6か月の継続勤務に含めて数えます。4月入社で3か月の試用期間がある方でも、最初の基準日は10月1日のままです。

「通常付与」になる人の条件(週30時間以上または週5日以上)

通常の日数が適用されるのは、次のどちらかに当てはまる方です。1つは週の所定労働時間が30時間以上の方。もう1つは、週の所定労働日数が5日以上(年217日以上)の方です。

たとえば「1日4時間×週5日」のパートさんは、週20時間ですが週5日勤務なので通常付与です。反対に「1日7時間×週4日」の方は週28時間・週4日なので、次に見る比例付与の対象です。時間と日数の両方を見るのがコツと言えます。

もう一つ迷いやすいのが、残業で実際の労働時間が長くなっている方です。判定に使うのは、実際に働いた時間ではなく契約上の「所定労働時間」です。週25時間の契約で、残業により週32時間働いている月があっても、比例付与の判定は変わりません。ただ、恒常的に長くなっているなら、契約の見直しを一緒に検討する時期のサインです。

【早見表】パート・アルバイトの比例付与の日数

週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週4日以下(年216日以下)の方には「比例付与」が適用されます。比例付与とは、働く日数に応じて減らした日数を付与する仕組みのことです。週1日勤務の方でも、条件を満たせば有給休暇は発生します。

「パートには有給休暇はない」と思われている社長は、今も少なくありません。けれど実際には、ほとんどのパートさんに日数が生まれています。

週の所定労働日数(年間)6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
週4日(169〜216日)7日8日9日10日12日13日15日
週3日(121〜168日)5日6日6日8日9日10日11日
週2日(73〜120日)3日4日4日5日6日6日7日
週1日(48〜72日)1日2日2日2日3日3日3日

※出典:労働基準法第39条第3項、労働基準法施行規則第24条の3(週30時間未満の労働者が対象)

週4日・週3日・週2日・週1日の付与日数一覧

上の表のとおり、週4日勤務の方は6か月で7日、勤続6年6か月以上で15日になります。週3日なら5日から11日、週2日なら3日から7日、週1日なら1日から3日です。年間の所定労働日数が48日未満の方は、付与の対象外です。

ここで注目したいのが、年5日の取得義務との関係です。週4日勤務の方は勤続3年6か月で10日に達し、週3日勤務の方は5年6か月で10日に届きます。その時点から、パートさんも年5日の対象に入る点に気をつけておきましょう。

シフト制で週の日数が決まっていない場合は「年間の所定労働日数」で判断

シフト制で、週によって勤務日数が変わる方も多いはずです。その場合は、週の日数ではなく「年間の所定労働日数」で表の行を選びます。たとえば年間150日の予定なら、週3日(121〜168日)の行が当てはまります。

契約書に年間日数が書かれていない場合は、基準日直前の実績から考える方法が一般的です。過去6か月の出勤日数を2倍して、1年分の目安にするイメージです。迷ったときは、契約書に「週◯日程度」と目安を書いておくと、後の判断がスムーズです。

契約変更で日数が変わったときは「基準日時点の契約」で判定

週3日から週5日に契約が変わったなど、途中で働き方が変わるケースもあります。付与日数は、基準日の時点の契約内容で判定するのが原則です。

たとえば基準日の前月に週5日へ切り替えた方は、その基準日から通常付与の日数を適用します。反対に、基準日の後に契約を変えても、その年の日数はさかのぼって変わりません。変更のタイミングを記録しておくと、翌年の判定で迷わずに済みます。

なお、すでに付与した日数は、契約が週5日から週3日に減っても、そのまま使える扱いです。減った分を取り消すことはできません。契約変更の面談で「今の残日数はこのまま使えます」と伝えておくと、社員さんの安心にもつながります。

通常付与か比例付与か|判定フローチャート
契約上の所定労働時間・所定労働日数で判定します(実際の残業時間では判定しません)。
Q1. 週の所定労働時間は30時間以上ですか?
↓
はい → 通常付与(10日~20日)
いいえ → Q2へ
↓
Q2. 週の所定労働日数は5日以上(年217日以上)ですか?
↓
はい → 通常付与(10日~20日)
いいえ → Q3へ
↓
Q3. 年間の所定労働日数は48日以上ですか?
↓
はい → 比例付与
週4日(169~216日)/週3日(121~168日)/週2日(73~120日)/週1日(48~72日)の行で日数を確認
いいえ(年48日未満)→ 付与の対象外
出典:労働基準法第39条第3項、労働基準法施行規則第24条の3

付与日数を間違えやすい3つのポイント|8割出勤・継続勤務・基準日

付与日数の間違いは、出勤率8割の数え方、継続勤務の考え方、基準日の管理の3か所で起きやすいものです。どれも悪意はなく、思い込みや情報の古さから生まれるケースがほとんどです。

ご相談の中でも「計算したつもりが、実は日数が足りていなかった」という声をよく耳にします。付与日数の不足は労働基準法第39条の違反にあたるため、気づいた時点で速やかに不足分を付与し、記録を直しておきましょう。そのうえで、同じ間違いを仕組みで防ぐのが現実的な対策です。つまずきやすいところを、先に確認しておきましょう。

出勤率8割の計算|労災の休業・産休・育休・有給取得日は「出勤した日」として数える

出勤率8割の判定では、休んだ日の一部を「出勤した日」として数えます。労働基準法第39条第10項では、次の期間を出勤したものとみなすと定めています。業務上のケガや病気による休業、産前産後休業、育児休業・介護休業です。有給休暇を取った日も、出勤扱いです(昭和22年9月13日発基第17号)。

たとえば現場でケガをして2か月休んだ社員さんがいても、その期間は欠勤になりません。「休みが多かったから今年は有給なし」と判断すると、付与漏れにつながります。

私自身、従業員さんの表情の変化が気になって事情を伺ったことがあります。すると、産休明けの方の付与がゼロのままでした。そこで、産休期間を出勤扱いにして日数を計算し直し、不足分をすぐに付与していただきました。あわせて、休業明けには付与日数を確認する手順を管理表に加えています。小さな確認が、信頼関係を守ることにつながると実感しています。

契約更新を繰り返すパートや定年後の再雇用も「継続勤務」に含まれる

継続勤務とは、会社に在籍している期間のことです。形式上の契約が途切れていても、実態として働き続けていれば通算して考えます。

半年ごとに契約を更新しているパートさんや、定年後に嘱託として再雇用した方も、勤続年数はリセットされません。厚生労働省の通達(昭和63年3月14日基発第150号)でも、こうした場合は実態から判断するとされています。

「再雇用だから初年度扱いで10日」としてしまうと、本来20日の方に10日しか付与していない状態に陥ってしまいます。再雇用のタイミングで、勤続年数を確認しておくと安心です。

入社日がばらばらなら「基準日の統一(斉一的付与)」で管理をシンプルに

入社日ごとに基準日が違うと、社員さんが増えるほど管理は複雑さを増します。そこで使える方法が、基準日の統一(斉一的付与)です。斉一的付与とは、全員の基準日を4月1日などに揃えて、同じ日にまとめて付与する方法のことです。

ただし、統一するときは法定より不利にならないよう、日数を前倒しで付与するのがルールです。たとえば10月15日入社の方なら、本来の基準日は翌年4月15日です。これを4月1日に揃えて10日を付与し、短くなった期間は全期間出勤したものとみなして扱います。

「日付がばらばらで管理できない」と悩むより、仕組みを一度整えるほうが楽になる会社は多くあります。どの日に揃えるのが自社に合うか、一緒に考えていきましょう。

付与日数を間違えやすいポイント|セルフチェック
当てはまらない項目があれば、付与日数を見直すサインです。
出勤率8割の計算
労災による休業・産前産後休業・育児休業・介護休業・有給取得日を「出勤した日」として数えている
継続勤務の通算
契約更新を繰り返すパートや定年後の再雇用の方の勤続年数を、雇い入れ日から通算している
試用期間の扱い
試用期間も6か月の継続勤務に含めて、最初の基準日を決めている
基準日の管理
誰の基準日がいつかを一覧にし、管理する担当者と確認のタイミングを決めている
根拠:労働基準法第39条第10項、昭和63年3月14日基発第150号

建設業の現場で迷いやすい有給休暇の日数の考え方

建設業では、雨天による現場の中止や、日給月給の職人さんの扱いなど、一般的な解説では判断しにくい場面が多くあります。基本は同じ労働基準法です。そのうえで「全労働日」と「労働者かどうか」の2点を丁寧に見ることが、建設業での鍵になります。

現場が忙しい社長ほど、ここは後回しになりがちです。けれど、職人さんにとって有給休暇は「会社が自分を大切にしてくれているか」を感じるポイントでもあります。人手不足が続く建設業だからこそ、定着の土台として整えておきたい部分です。よくあるご質問をもとに、考え方をまとめました。

雨天中止で休みになった日の「全労働日」の扱い

雨で現場が中止になり休みになった日は、出勤率の計算で「全労働日」から外して考えるのが正解です。根拠は厚生労働省の通達(平成25年7月10日基発0710第3号)です。不可抗力による休業日や、会社側の事情による休業日は、全労働日に含めないとされています。

つまり、雨天中止の日を「欠勤」として数えるのは誤りです。その日を欠勤扱いにすると、出勤率が8割を下回ったように見えてしまいます。

賃金の面では、扱いが分かれます。悪天候で作業ができない日は不可抗力にあたり、休業手当は通常かかりません。一方、作業はできるのに会社の判断で休ませた日は、休業手当の対象です(労働基準法第26条)。休業手当とは、会社の都合で休ませた日に平均賃金の6割以上を支払う手当のことです。天候による中止の扱いは、就業規則で「休日の振替」として定めておくなど、現場に合ったルールづくりをおすすめします。

日給月給・常用の職人さんにも有給休暇は発生する

日給月給制とは、月給を決めたうえで、欠勤した日の分を差し引く賃金の決め方のことです。日給制や日給月給制の職人さんも、雇用契約を結んでいれば有給休暇の対象です。

日雇いの形で働いていても、毎日のように同じ会社の現場に入っていれば、継続勤務とみなされることがあります。「日雇いだから関係ない」と決めつけず、実際の働き方を見て判断していきましょう。

建設業の労働時間や移動時間の考え方は、建設業の労働時間|移動時間・残業上限を社労士が整理でも詳しくご紹介しています。

一人親方(請負)は対象外|ただし実態が「雇用」なら話は別

一人親方は、会社と請負契約を結んで仕事をする方です。労働基準法上の「労働者」にあたらないため、有給休暇の対象にはなりません。

ただし、契約書が「請負」でも、会社の指示で毎日決まった時間に働いている場合は注意が必要です。労働者かどうかは、契約の名前ではなく、指揮命令を受けているかなどの実態で判断されます。

「請負だから有給はなし」とそのまま扱うのは、実態次第で難しい部分があります。ただ、こちらの方法なら整理できます。働き方を見直して請負の実態に合わせるか、雇用契約に切り替えて有給を含めた労働条件を整えるか、です。一人親方の保険まわりは、一人親方の労災保険特別加入|建設業の費用・手続き完全解説もご参考ください。

有給取得日の賃金|日給制なら「通常の賃金」で払うのがわかりやすい

有給休暇を取った日の賃金の払い方は3通りです。①通常の賃金、②平均賃金、③健康保険の標準報酬日額(労使協定が必要)から選びます(労働基準法第39条第9項)。平均賃金とは、原則として直前3か月の賃金総額をその期間の総日数で割った1日あたりの額のことです(労働基準法第12条)。どれを使うかは、就業規則で定めておきます。

日給制の職人さんなら、「通常の賃金=日給1日分」で払うのが一番わかりやすい方法です。毎回計算方法が変わると、給与計算の手間も、職人さんの不信感も増えてしまいます。

給与計算の負担を軽くしたい方へ。江東区で給与計算代行を任せるなら|中小企業が本業に集中できる社労士活用もあわせてご覧ください。

建設業の働き方別|有給休暇の対象になるか
判断のポイントは「雇用契約の有無」「継続勤務の実態」「指揮命令の有無」です。
月給の正社員
対象
フルタイムなら通常付与。勤続6か月で10日、最大20日。
日給月給の職人
対象
雇用契約があれば対象。有給取得日は「通常の賃金」で払うとわかりやすい。
常用・日雇いの職人
実態で判断
同じ会社の現場に継続して入っていれば継続勤務とみなされることがある。
一人親方(請負)
原則対象外
労働者でなければ対象外。ただし指揮命令を受けて働く実態があれば雇用と判断されることも。
根拠:労働基準法第9条(労働者の定義)、第39条

年5日の取得義務|10日以上付与される人には会社が取得させる

2019年4月から、会社に新しい義務が加わりました。年10日以上付与される労働者に、付与日から1年以内に5日を取得させることです。根拠は労働基準法第39条第7項です。対象は正社員だけでなく、比例付与で10日以上になったパートさんも含みます。

働き方別|年5日の取得義務がスタートする時期
付与日数が10日以上になった年から、会社が年5日を取得させる義務の対象です(オレンジのマス)。
働き方6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
フルタイム10日11日12日14日16日18日20日
週4日7日8日9日10日12日13日15日
週3日5日6日6日8日9日10日11日
フルタイムは6か月から、週4日は3年6か月から、週3日は5年6か月から対象。出典:労働基準法第39条第2項・第3項・第7項

企業規模による猶予はなく、従業員が1人の会社でも同じです。「うちは小さいから」という理由で対象外にはならない点に気をつけましょう。

とはいえ、身構える必要はありません。仕組みさえ作ってしまえば、毎年の運用はそれほど難しくありません。ここでは対象者、カウントの方法、就業規則、罰則の4点を順に見ていきます。

対象者と「付与日から1年以内に5日」の数え方

対象になるのは、その年に新しく付与された日数が10日以上の方です。前年からの繰越分を足して10日になる方は、対象に含まれません。

5日の数え方は、基準日から1年の間に取得した日数で見ます。10月1日が基準日の方なら、翌年9月30日までに5日です。会社の決算期や暦年ではない点にご注意ください。

管理職も、10日以上付与されていれば対象です。労働時間の規制が外れる「管理監督者」(経営者と一体的な立場で働く人)も例外ではありません。社長の右腕として働く方ほど休みを取りにくいもの。上の立場の方から休む雰囲気づくりも、取得を進めるコツと言えます。

本人の取得・計画的付与・会社の時季指定はどれも5日に含まれる

5日にカウントできる日は3種類あります。①本人が希望して取った日、②計画的付与の日、③会社が時季を指定した日です。時季指定とは、本人の取得が5日に届かないときに、会社が本人の意見を聴いて休む日を決めることです。本人がすでに5日以上取っていれば、時季指定は不要です。

計画的付与とは、労使協定を結んで、有給休暇の取得日をあらかじめ決めておく仕組みのことです。労使協定とは、会社と従業員の過半数代表などが書面で結ぶ取り決めを指します。年末年始やお盆に合わせて3日を計画付与にすると、残り2日を本人に取ってもらえば5日に届きます。付与日数のうち5日を超える部分が、計画的付与の対象です。

現場が止まる時期に合わせて休みを設計すると、建設業でも無理なく5日を確保しやすいはずです。

時季指定をするなら就業規則への記載が必要

会社が時季を指定する場合は、対象者と方法を就業規則に書いておく必要があります(労働基準法第89条)。休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項だからです。

時季を指定するときは、本人の意見を聴き、できるだけ希望に沿うよう努めることも求められます。「来週の月曜に休んで」と一方的に決めるより、「この月のどこかで2日取れそう?」と相談するほうが、職場の空気もやわらかく保てます。

就業規則の基本は、こちらでご紹介しています。就業規則とは?義務・作成・変更を中小企業向けにわかりやすく解説

建設業向けの書き方は、こちらが参考になります。建設業の就業規則|日給月給・常用工混在の中小建設業が整える実務

違反した場合の罰則(労働基準法第120条:30万円以下の罰金)

年5日を取得させなかった場合の罰則は、30万円以下の罰金です(労働基準法第120条)。就業規則に記載せずに時季指定をした場合も、同じく罰則の対象です。

とはいえ、罰則を怖がるよりも、仕組みで防ぐほうが現実的です。基準日から半年たった時点で取得日数を確認し、少ない方に声をかける。この一手間だけで、多くの未達は防げます。

労働基準監督署の調査では、年次有給休暇管理簿と実際の取得状況を確認されることが多いとされます。違反が見つかった場合は、是正勧告(法令違反を改めるよう求める行政指導)を受けるのが通常の流れです。日ごろから管理簿の整備と取得の声かけを続けておくことが、何よりの備えになります。

年5日の取得義務を守る1年間のスケジュール例
基準日が10月1日の社員さんの場合の一例です。
10月1日(基準日)
10日を付与
この日から1年以内に5日の取得が必要です。
12月下旬~1月上旬
計画的付与で3日(例)
年末年始の休みに合わせて3日を計画付与。労使協定が必要です。
4月(半年後)
取得状況をチェック
管理簿で取得日数を確認し、少ない方に声をかけます。
5月~8月
時季指定(必要な方のみ)
5日に届かない方へ、本人の意見を聴いて休む日を決めます。
翌年9月30日
5日の取得を達成
取得実績を管理簿に記録し、次の基準日に備えます。
本人が自分で5日以上取っていれば、時季指定は不要です。時季指定をする場合は、対象者と方法を就業規則に記載します。
根拠:労働基準法第39条第6項・第7項、第89条

繰越・時効・管理簿|有給休暇の日数を正しく管理する方法

使い切れなかった有給休暇は、翌年に繰り越せます。請求権の時効は2年(労働基準法第115条)のため、前年分と当年分を合わせて持つ形です。あわせて、会社には年次有給休暇管理簿を作って保存する義務があります。

繰越や時効の扱いを誤ると、社員さんの残日数と会社の記録が合わなくなります。退職時の有給消化の場面で、トラブルに発展しやすいところです。日々の管理を無理なく続けるために、押さえておきたいルールは3つです。

有給休暇の繰越と時効2年の仕組み
勤続6年6か月以上のフルタイムの方(毎年10月に20日付与)の例です。
2025年10月
2026年10月
2027年10月
2028年10月
2025年分 20日
繰越(残り)
時効で消滅
2026年分 20日
繰越(残り)
時効で消滅
2026年10月~2027年9月は、当年分20日+繰越分20日で最大40日を保有
出典:労働基準法第115条(年次有給休暇の請求権の時効は2年)。どちらから先に使うかは就業規則に定めておくのがおすすめです。

時効は2年|繰越を含めて最大40日まで保有できる

付与された日から2年たつと、使わなかった有給休暇は時効で消えます。そのため、当年に付与された分と前年からの繰越分を、同時に持てる仕組みです。

勤続6年6か月以上のフルタイムの方なら、当年分20日と繰越分20日で、最大40日を持つことになります。取得するときに、繰越分と当年分のどちらから使うかは、就業規則の定め方で変わります。古い繰越分から使う扱いにしておくと、時効で消える日数を減らせます。

どちらから使うかについて、法律や通達に明確な定めはありません。繰越分から使ったものと扱う見解が多いものの、就業規則に「繰越分から先に使う」と書いておくのがおすすめです。社員さんにとっても分かりやすく、残日数の説明もしやすくなります。給与明細や勤怠システムで「繰越◯日・当年◯日」と分けて表示しておくと、より安心です。

年次有給休暇管理簿の作成と保存(当分の間3年)

年次有給休暇管理簿とは、労働者ごとに基準日、付与日数、取得した日付を記録する帳簿のことです。労働基準法施行規則第24条の7で作成が義務づけられています。

保存期間は5年ですが、当分の間は3年とされています(労働基準法施行規則第24条の7、附則第72条)。紙でもエクセルでも、勤怠システムでもかまいません。賃金台帳などとあわせて作ることも認められています。

私がご一緒する会社では、まず「誰の基準日がいつか」を一覧にするところから始めるケースが多いです。それだけで、年5日の確認や付与漏れのチェックがぐっと楽に進みます。

半日単位・時間単位の有給休暇と年5日へのカウント

有給休暇は1日単位が原則ですが、労使で合意すれば半日単位で取ることもできます。半日単位で取った分は、0.5日として年5日にカウント可能です。

一方、時間単位の有給休暇は、労使協定を結べば年5日分まで認められます。ただし、時間単位で取った分は年5日の取得義務にはカウントされません。通院や子どもの行事で「2時間だけ抜けたい」という声に応えやすい仕組みですが、年5日の管理とは分けて考えておきましょう。

建設業なら、朝だけ病院に寄ってから現場に入る、といった使い方が考えられます。現場の段取りを崩さずに休みを取れる点で、職人さんにも喜ばれやすい制度です。導入する場合は、1時間単位か2時間単位かなど、取得の単位も協定で決めておきます。

有給休暇の取得単位の比較(1日・半日・時間単位)
取得単位によって、年5日の取得義務への数え方が変わります。
取得単位導入に必要な手続き上限年5日へのカウント
1日単位不要(原則の取り方)なし○ 1日
半日単位労使の合意(就業規則に定めるのが一般的)なし○ 0.5日
時間単位労使協定年5日分まで× カウントされない
根拠:労働基準法第39条第4項(時間単位年休)、厚生労働省の解釈(半日単位は0.5日として年5日に算入可)

有給休暇の日数管理で、経営者様が本業に集中するために

本記事の要点を振り返ります。有給休暇の日数は、勤続年数と週の所定労働日数で決まります。フルタイムは6か月で10日、最大で年20日です。週30時間未満かつ週4日以下なら比例付与となり、10日以上付与される人には年5日の取得義務がかかります。時効は2年で、管理簿の作成も欠かせません。

有給休暇は、きちんと運用すれば人が定着し、安心して働ける職場づくりにつながる制度です。小さな会社ほど、付与と取得の仕組みを先に整えておくと、毎年の判断に迷いが減っていきます。

法律を守ることはゴールではなく、出発点です。社長が描く会社の姿に近づくための土台として、有給休暇を活かしていきましょう。

採用面接で「有給は取れますか」と質問されることもあるでしょう。そのとき自信を持って答えられる状態をつくることは、小さな会社の採用力にもつながります。

小規模な会社でもできる、付与・取得の「見える化」

最初の一歩は、全員分の情報を1枚の表にまとめることです。項目は「入社日・基準日・週の勤務日数・付与日数・取得日数」の5つで足ります。この表が、そのまま管理簿の土台として使えます。

給与明細に有給の残日数を書いておくのも、手軽な方法です。社員さんが自分の残りを把握できると、休みの相談もしやすくなります。

表は毎月の給与計算のタイミングで更新するのがおすすめです。月に一度見直すだけで、年5日に届きそうにない方や、基準日が近い方にすぐ気づけます。エクセルで十分ですし、勤怠システムをお使いならその機能を活かす方法もあります。

就業規則と実態がずれていないかを定期的に点検する

就業規則に書かれた日数や取得のルールが、今の実態と合っているかを年に1回は点検しておくと安心です。パートさんの増加や、時季指定の導入など、会社の変化に合わせて見直していきます。

「就業規則にはこう書いてあるけれど、実際は違う運用をしている」という状態は、トラブルの種になりがちです。小さなずれのうちに気づければ、大きな問題になる前に手を打てます。

点検の目安は3点です。①付与日数が法定を下回っていないか、②時季指定のルールが書かれているか、③計画的付与の協定が今も有効か、を確認します。法改正があった年は、とくに丁寧に見直しておくと安心です。

KT社労士事務所が一緒に整える、有給休暇の運用ルール

私たちKT社労士事務所では、付与日数の確認や管理簿の作成をお手伝いしています。就業規則の見直しや、計画的付与の労使協定づくりも対応可能です。社内に人事担当がいない会社の「外付けの人事労務」として伴走することが、私たちの役割です。

「パートさんの日数が合っているか見てほしい」「年5日をどう管理すればいいか分からない」。そんな段階からで大丈夫です。社長が本業に集中できるよう、細やかに寄り添いながら一緒に整えていきます。

相談先を探している方は、社会保険労務士への相談を江東区で|中小企業が本業に集中できる伴走サポートもご覧ください。

よくあるご質問(FAQ)

Q. 入社してすぐに有給休暇はもらえますか?

A. 法律上は、雇い入れから6か月継続勤務し、8割以上出勤した時点で初めて付与されます(労働基準法第39条)。ただし、会社が就業規則で入社時に前倒しで付与することは可能です。前倒しする場合は、翌年以降の基準日の扱いもあわせて決めておくと、管理がスムーズになります。

Q. 週1日勤務のパートにも有給休暇はありますか?

A. あります。週の所定労働日数が1日(年間48〜72日)の方でも、6か月継続して勤務し8割以上出勤すれば1日が付与されます。その後は勤続に応じて、最大3日まで増えていきます。年間の所定労働日数が48日未満の方は、付与の対象外です。

Q. 使い切れなかった有給休暇は翌年に繰り越せますか?

A. 繰り越せます。有給休暇の請求権の時効は2年のため(労働基準法第115条)、前年分の残りを翌年に持ち越せます。フルタイムで勤続6年6か月以上の方なら、当年分20日と繰越分20日で、最大40日を持つことになります。

Q. 年5日の取得義務は、パートやアルバイトも対象ですか?

A. その年に10日以上の有給休暇が付与される方であれば、パート・アルバイトも対象です。たとえば週4日勤務の方は、勤続3年6か月で付与が10日になるため、その時点から年5日の取得義務がかかります。

Q. 有給休暇を買い取ることはできますか?

A. 有給休暇の目的は「休んでもらうこと」です。そのため、事前の買い取りの約束で日数を減らすことは原則として認められていません。ただ、時効で消える分や、退職時に残った分を会社が任意で買い取ることは差し支えないとされています。取得しやすい仕組みづくりとあわせて、運用方法を一緒に考えていきましょう。

ご不明な点や、ちょっとした疑問があれば、お気軽にご相談ください。どんな些細なことでも、まずはお話をお聞かせいただければと思います。

私たちKT社労士事務所は、経営者様の隣で一緒に考える伴走者として、細やかに寄り添うサポートを大切にしています。

出典・参考

  • 厚生労働省「令和7年就労条件総合調査の概況」(2025年12月公表・確認済み):https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/25/index.html
  • e-Gov法令検索「労働基準法」(確認済み):https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
  • 労働基準法第39条(年次有給休暇)、第26条(休業手当)、第89条(就業規則の記載事項)、第115条(時効)、第120条(罰則)
  • 労働基準法施行規則第24条の3(比例付与)、第24条の7(年次有給休暇管理簿)、附則第72条(保存期間の経過措置)
  • 昭和63年3月14日基発第150号(継続勤務の考え方)、平成25年7月10日基発0710第3号(全労働日の考え方)
  • 過労死等防止対策大綱(2024年8月閣議決定・年次有給休暇取得率の目標)

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田渕 花純

この記事の著者

田渕 花純

Kasumi Tabuchi

KT社会保険労務士事務所 代表/社会保険労務士

客室乗務員として培った「人を見る感度」を強みに、社会保険労務士として建設業・中小企業の労務を支える。トラブルの予兆を見逃さない予防型のサポートと、「できません」で終わらせず代替案を示す姿勢を大切にしている。東京・江東区を拠点に、外国人雇用・労災特別加入・一人親方対応など建設業特有の課題にも対応。

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