スタートアップが初めて採用する時に押さえる手続き|雇用保険・社保

共同創業者だけで走ってきた法人が、1人目の従業員を迎える——嬉しい節目でありながら、手続きの多さに戸惑う経営者の方は少なくありません。「雇用保険って自分で入るんでしたっけ」「就業規則は10人未満だから作らなくていい?」。私たちKT社会保険労務士事務所にご相談いただく中でも、この段階の疑問はとても多く寄せられます。
結論から言うと、初めての採用で必ず必要なのは「労働条件通知書」「雇用保険の初回手続き(10日以内)」「社会保険の初回手続き(5日以内)」の3セットです。これに加えてスタートアップ特有の論点として、リモート・フルフレックス前提の契約書設計、そして要件を満たせば活用できる可能性のある助成金の2つを、内定を出した段階から並行して準備しておくと、入社当日にバタつかずに済みます。
本記事では、①採用前準備、②雇用保険・社会保険の初回手続き、③リモート特有の論点、④助成金、⑤3〜6か月後に見直したいこと——を、社労士の立場から順に整理していきます。1人目の入社日を安心して迎えていただくためのチェックリストとしてお役立ていただければ嬉しく思います。
| 手続き | 提出先 | 期限 | 根拠法令 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 労働条件通知書の交付 | 労働者本人 | 労働契約締結時 | 労働基準法第15条 | 厚生労働省『労働条件明示のルール』(2024年4月改正) |
| 健康保険・厚生年金 被保険者資格取得届 | 年金事務所 | 入社日から5日以内 | 健康保険法第48条 | 日本年金機構『適用事業所と被保険者』(2025年更新) |
| 労働保険関係成立届 | 労働基準監督署 | 保険関係成立の日から10日以内 | 労働保険徴収法第4条の2 | 厚生労働省『労働保険の成立手続』(2025年更新) |
| 雇用保険 適用事業所設置届 | ハローワーク | 雇用の事実発生から10日以内 | 雇用保険法第7条 | 厚生労働省『雇用保険事務手続きの手引き』(2025年版) |
| 雇用保険 被保険者資格取得届 | ハローワーク | 雇用月の翌月10日まで | 雇用保険法第7条 | 厚生労働省『雇用保険事務手続きの手引き』(2025年版) |
INDEX≡目次
- 1スタートアップの「初めての採用」で必ずぶつかる3つの壁
- ►壁①:初回だけ発生する労働・社会保険の届出
- ►壁②:口頭合意の限界と、書面化しないと守れないもの
- ►壁③:リモート前提など、テンプレでは足りない論点
- 2採用前に整えておく3つの準備(労働条件通知書・雇用契約書・就業規則)
- ►労働条件通知書:交付が義務(労働基準法第15条)
- ►雇用契約書:通知書と兼用でOK、電子交付も可(2024年4月拡充)
- ►就業規則:常時10人未満なら「作成義務なし」だがあると助かる
- 3入社日〜10日以内に完了させる雇用保険の初回手続き
- ►適用事業所設置届:雇用の事実発生から10日以内(管轄ハローワーク)
- ►被保険者資格取得届:入社月の翌月10日まで
- ►初回だけ必要な添付書類の実務ポイント
- 4入社日から5日以内に済ませる社会保険の初回手続き
- ►新規適用届と被保険者資格取得届:入社日から5日以内
- ►被扶養者(異動)届:家族を扶養に入れる場合
- ►電子申請(e-Gov/マイナポータル)で完結できる時代
- 5【スタートアップ特有】リモート・フルフレックス前提の雇用契約で漏れやすい論点
- ►就業場所を「自宅」とするなら住所変更時の届出ルールも
- ►フレックスタイム制と裁量労働制は別物、労使協定・届出が必要
- ►通信費・光熱費の在宅勤務手当は「賃金」か「実費」か
- 6「初めての採用」で使える可能性のある助成金と、その落とし穴
- ►キャリアアップ助成金(正社員化コースなど)の全体像
- ►人材開発支援助成金:教育訓練を賃金助成する制度
- ►「もらえるとは限らない」——申請前に確認したい前提
- 7まずは「1人目」から。3〜6か月後に見直したい労務ポイント
- ►労働時間の実態と契約内容のズレを埋める
- ►36協定・変形労働時間制など次のフェーズの制度設計
- ►2人目を雇うタイミングで就業規則を整える
- 8よくあるご質問(FAQ)
- ►Q1. 1人目を雇う前に、必ずやっておかないといけない手続きは何ですか?
- ►Q2. 業務委託ではなく雇用契約にするメリットは何ですか?
- ►Q3. 就業規則は常時10人未満なら作らなくていいのですか?
- ►Q4. 初めての採用で使える助成金はありますか?
- ►Q5. リモート勤務前提で採用する場合、雇用契約書に何を追加で書けばいいですか?
スタートアップの「初めての採用」で必ずぶつかる3つの壁
初めての採用でつまずくポイントは、「手続きの期限」「口頭合意の限界」「テンプレでは足りない論点」の3つに集約されます。特に3つ目は、スタートアップ特有の事情——リモート、裁量労働——が絡むため、一般的な採用手続きテンプレートだけでは埋まらない部分です。
私たち自身、創業期のご相談を受けていると「オファーレターは弁護士に相談したけれど、雇用契約書は何を書けばいいか分からず放置してしまった」という状況を何度も見かけます。Coral Capital の動画「急成長スタートアップが最優先で採るべき人材は?」でも、初期採用では役割定義よりカルチャー適合を優先せざるを得ない現場感覚が語られており、書面整備に手が回らない事情はよく分かる状況です。
壁①:初回だけ発生する労働・社会保険の届出
雇用保険は、事業所として初めて人を雇うタイミングで「適用事業所設置届」という初回だけの手続きが発生します。健康保険・厚生年金も、法人設立時に加入していない場合は「新規適用届」が必要です。ここが通常の毎月手続きと違う「初回モード」であることを見落とすと、期限を逃してしまいます。
壁②:口頭合意の限界と、書面化しないと守れないもの
「有給は入社半年後から」「退職時は1か月前に申し出」——こうした基本ルールは、労働基準法に明文の定めがあるものと、就業規則で決めておかないと運用できないものが混在しています。口頭で「そういうものです」と伝えるだけでは、後で解釈のズレが生じます。
壁③:リモート前提など、テンプレでは足りない論点
スタートアップならではの働き方——フルリモート、裁量労働、副業容認——は、雇用契約書の市販テンプレートには十分な条項がありません。この部分こそ、社労士と一緒に「うちの会社ではどう書くか」を決めていく価値の生まれる領域です。
採用前に整えておく3つの準備(労働条件通知書・雇用契約書・就業規則)
内定を出した段階で用意しておきたい書類は3つ。「労働条件通知書(法定義務)」「雇用契約書(実務上必須)」「就業規則(10人未満は義務なし・でも整えたい)」です。オファーレターだけで走り出すと、入社当日に「あれ、書いてなかった」と気づく場面が出てきます。
労働条件通知書:交付が義務(労働基準法第15条)
労働基準法第15条では、事業主は労働契約を結ぶ際に、賃金・労働時間・就業場所・業務内容などの労働条件を書面で明示することが定められています。2024年4月からは「就業場所・業務の変更範囲」「有期契約の更新上限」などの明示事項が追加されました(厚生労働省「労働条件明示事項の追加について」)。
初出解説:労働条件通知書とは、労働契約締結時に事業主が労働者へ交付する労働条件の明示書のことです。例えば給与額・支払日・所定労働時間・年次有給休暇の付与ルールなどを1枚にまとめた書類です。
雇用契約書:通知書と兼用でOK、電子交付も可(2024年4月拡充)
雇用契約書は労働基準法上の義務ではありませんが、実務では通知書と兼用の「労働条件通知書兼雇用契約書」として、双方が署名する形にするのが一般的です。2024年4月から、労働者が希望した場合はメール・チャット等での電子交付も認められるようになりました。
就業規則:常時10人未満なら「作成義務なし」だがあると助かる
労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成・届出が義務付けられています。10人未満ならこの義務はありません。ただし、義務がないことと「作らなくていい」ことは別。有給休暇の付与ルール、退職手続き、秘密保持、副業の取り扱いなど、就業規則がないと「口頭で決めていたはず」を巡ってトラブルの火種になりがちです。
| 比較軸 | 労働条件通知書 | 雇用契約書 | 就業規則 |
|---|---|---|---|
| 法的義務 | ○ 義務 労基法第15条 |
△ 任意 実務上は必須 |
△ 10人以上で義務 労基法第89条 |
| 交付タイミング | 労働契約締結時 | 労働契約締結時 | 作成後、労働者に周知 |
| 主な記載事項 | 賃金・労働時間・就業場所・業務内容・契約期間・更新上限など | 労働条件通知書の内容+守秘義務・競業避止など個別合意 | 始業・終業/休憩/休日/賃金/退職/服務規律/表彰・制裁など |
| 10人未満での必要性 | ○ 必須 | △ 推奨 | △ 義務なし(あると安心) |
入社日〜10日以内に完了させる雇用保険の初回手続き
雇用保険の初回手続きは、「事業所を作る届出(10日以内)」と「その人を被保険者にする届出(翌月10日まで)」の2段構えです。初めて人を雇う法人の場合、両方が発生します。管轄はどちらも事業所所在地のハローワークです。
適用事業所設置届:雇用の事実発生から10日以内(管轄ハローワーク)
労働保険(雇用保険+労災保険)は、法人が初めて労働者を雇用した日から、その事業所は「適用事業所」となります。この事実発生から10日以内に「雇用保険適用事業所設置届」と「労働保険関係成立届」を提出します。
私たちKT社労士事務所でも、この初回設置は「一気にまとめて処理する」ことを大切にしています。設置届・成立届・概算保険料申告書は、本来なら書式も提出先も少しずつ異なりますが、社労士が電子申請で束ねると、経営者の方の手間は大幅に軽くなる印象です。
被保険者資格取得届:入社月の翌月10日まで
雇用保険の被保険者資格取得届は、その労働者を雇用した日の翌月10日までが期限です。ここは月をまたぐと期限が動くので、月末入社の方の場合は「翌月10日」までの期間が短くなる点にご注意ください。
初回だけ必要な添付書類の実務ポイント
初回の設置届では、法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や賃貸借契約書のコピーなど、事業所の実在を裏付ける書類の添付を求められる場面も見かけます。書類が揃わずに何度もハローワークへ行く手間を減らすため、内定を出した段階で必要書類の一覧を確認しておくとスムーズです。
入社日から5日以内に済ませる社会保険の初回手続き
健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届は、入社日から5日以内が期限です。雇用保険(10日以内)より短いため、こちらの方が優先度が高くなります。管轄は事業所所在地の年金事務所(または健康保険組合)です。
新規適用届と被保険者資格取得届:入社日から5日以内
法人設立後、代表者が役員報酬を受け取っていれば通常は法人設立時に社会保険に加入しているため、1人目の従業員採用時に必要なのは「被保険者資格取得届」だけで済みます。まだ新規適用届を出していない法人の場合は、新規適用届と資格取得届を同時に提出します。
初出解説:被保険者資格取得届とは、健康保険・厚生年金の被保険者となる従業員の情報を年金事務所に届け出る書類のことです。マイナンバーまたは基礎年金番号、雇用開始日、報酬月額(標準報酬月額の元になる金額)などを記載します。
被扶養者(異動)届:家族を扶養に入れる場合
採用した従業員が配偶者や子どもを扶養に入れる場合は、被扶養者(異動)届も同時に提出します。添付書類として、続柄確認のための戸籍謄本や、収入確認のための課税証明書などが必要です。
電子申請(e-Gov/マイナポータル)で完結できる時代
2020年4月から、資本金1億円超の特定法人には社会保険手続きの電子申請が義務化されています。特定法人でなくても、e-Gov電子申請やマイナポータルを使えば、窓口へ行かずに手続きが完結します。私たち社労士事務所も、日常的な社会保険手続きの大半を電子申請で行っています。
資格取得届
資格取得届
通知書
届出義務
【スタートアップ特有】リモート・フルフレックス前提の雇用契約で漏れやすい論点
「うちはフルリモート・フルフレックスです」——面接ではよく話される言葉ですが、雇用契約書に落とすときに整理しておきたい論点が3つ存在します。Coral Capital の Startup Aquarium 2024 の動画「成長ステージ別に解説」や、株式会社morich森本千賀子氏の対談動画でも、採用時の条件提示と入社後の実態のギャップが繰り返し語られています。
就業場所を「自宅」とするなら住所変更時の届出ルールも
就業場所を自宅とする場合、住所変更時の届出義務、労災の適用範囲(自宅で階段から落ちたら業務災害か)、雇用保険の適用事業所所在地との関係など、通常の「オフィス勤務」と違う論点が出てきます。就業場所の変更範囲は2024年4月から労働条件通知書での明示事項となったため、この部分は特に丁寧に書き残しておきたいところです。
フレックスタイム制と裁量労働制は別物、労使協定・届出が必要
「フレックス」「裁量」という言葉は日常的に混同されがちですが、労働基準法上はまったく別の制度です。
初出解説:フレックスタイム制とは、清算期間内の総労働時間の範囲で、始業・終業時刻を労働者に委ねる制度のことです(労働基準法第32条の3)。労使協定の締結が必要で、清算期間が1か月を超える場合は所轄労働基準監督署への届出も必要です。
一方裁量労働制は、業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分を労働者に委ねる必要がある業務に限って、労使協定で定めた時間を「働いたものとみなす」制度です(同法第38条の3・第38条の4)。対象業務が法令で限定されており、スタートアップだからといって全社員に適用できるわけではありません。
通信費・光熱費の在宅勤務手当は「賃金」か「実費」か
在宅勤務手当を毎月定額で支給する場合と、実費精算する場合とで、社会保険料・所得税の取り扱いが変わってきます。国税庁の『在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ』(2021年1月公表・以後順次更新)に整理があり、実費精算を選ぶ場合は業務使用分の合理的な算定方法を準備しておく必要があります。
| 比較軸 | フレックスタイム制 | 裁量労働制 | 変形労働時間制 |
|---|---|---|---|
| 対象業務 | 制限なし(全業務可) | 法定の対象業務のみ(専門型19業務・企画業務型) | 制限なし(業種特性に応じて選択) |
| 労使協定の要否 | ○ 必要 | ○ 必要(企画業務型は決議も必要) | ○ 必要(1年単位/1か月単位) |
| 労基署への届出 | △ 清算期間1か月超で必要 | ○ 必要 | ○ 必要(就業規則と併せて) |
| 時間外労働の扱い | 清算期間の総枠を超えた分を時間外として計算 | みなし労働時間を超える設定分は時間外 | 対象期間の総枠を超えた分を時間外として計算 |
「初めての採用」で使える可能性のある助成金と、その落とし穴
初めての採用に関連する助成金として、キャリアアップ助成金・人材開発支援助成金など、要件を満たせば受給の可能性がある制度が複数存在します。ただし、いずれも「事前に手順を踏んでおかないと、後から遡って申請できない」性質のものが多く、採用計画を立てる段階で目線に入れておくことが望ましいです。
助成金は要件次第で支給されるものであり、「必ずもらえる」と断定できるものではありません。この記事で紹介するのはあくまで制度の概要と、活用可能性を検討する際の視点です。
キャリアアップ助成金(正社員化コースなど)の全体像
キャリアアップ助成金は、有期契約労働者・短時間労働者・派遣労働者などのキャリアアップを促進した事業主に対して支給される制度です(厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内」)。「有期契約で採用→6か月経過後に正社員化」という手順を踏むことで、正社員化コースの対象となる余地が広がります。
人材開発支援助成金:教育訓練を賃金助成する制度
人材開発支援助成金は、事業主が労働者に対して職務に関連した専門的な知識・技能を習得させるための職業訓練を計画に沿って実施した場合に、経費や賃金の一部を助成する制度です(厚生労働省「人材開発支援助成金のご案内」)。1人目の従業員に外部研修を受講させる予定がある場合、活用を検討する余地が生まれます。
「もらえるとは限らない」——申請前に確認したい前提
助成金の要件は年度ごとに改正されることがあり、また事前に就業規則・賃金台帳・出勤簿などの帳簿類が整っていることが前提となる場合が多いです。私たちの事務所でも、「後から申請しようとしたら、事前の届出が漏れていて対象外だった」という相談を受ける場面も見かけます。申請可能性を判断するタイミングは、採用前が理想です。
まずは「1人目」から。3〜6か月後に見直したい労務ポイント
初回の手続きが片付いたら終わり、ではありません。実際に一緒に働き始めてから見えてくる論点が姿を見せます。3〜6か月後、静かに一度立ち止まって見直す時間を取ることをおすすめします。
労働時間の実態と契約内容のズレを埋める
契約書上は「10時〜19時の所定労働時間」でも、実態がフレックス寄りに動いていたり、逆に契約書上のフレックスが機能していなかったり——実態と書面のズレは、時間が経つほど埋めにくくなります。3か月後に一度、勤怠データと契約書を突き合わせる時間を取ることが有効です。
36協定・変形労働時間制など次のフェーズの制度設計
時間外労働・休日労働が発生する可能性がある場合は、36協定(時間外労働・休日労働に関する労使協定)の届出が必要です。1人目でも、月に数時間でも残業が発生する見込みがあるなら、締結・届出をしておくのが安全です。
2人目を雇うタイミングで就業規則を整える
2人目・3人目と増えていく段階で、就業規則を整えるタイミングを迎えます。10人未満でも作成できますし、その時点で「有給の付与ルール」「退職時のルール」「秘密保持」などを整理しておくと、10人目に達したときに慌てずに届出まで進められます。ここは「できません」ではなく「今のうちにこっちで整えておくと後が楽です」とお伝えしている部分です。
よくあるご質問(FAQ)
スタートアップの初めての採用でよくいただくご質問をまとめました。
Q1. 1人目を雇う前に、必ずやっておかないといけない手続きは何ですか?
労働条件通知書の交付(労働基準法第15条)、労働保険(雇用保険・労災保険)の適用事業所設置届、社会保険の新規適用届・被保険者資格取得届の3つが主な必須手続きです。書類ごとに期限が違い、いちばん短いもので入社日から5日以内なので、内定を出した段階で並行して準備を始めることをおすすめします。
Q2. 業務委託ではなく雇用契約にするメリットは何ですか?
業務委託は指揮命令ができない前提の契約で、業務時間・場所・進め方を細かく指定すると「実態は雇用」と判断されるリスクを抱えます。特にスタートアップの1人目は経営者と近い距離で働く場合が多く、指揮命令の実態が発生しやすい状況です。最初から雇用契約で整えた方が、後の紛争を避けやすいケースが多いと感じています。
Q3. 就業規則は常時10人未満なら作らなくていいのですか?
労働基準法上、常時10人以上の労働者を使用する事業場に作成・届出義務があります(第89条)。10人未満なら義務はありません。ただ、有給休暇の付与ルール・退職手続き・秘密保持などが「口頭で決めていた」ことになりがちで、いざトラブルになると困る場面が出てきます。1人目のうちから簡易版を用意しておくのが安心です。
Q4. 初めての採用で使える助成金はありますか?
キャリアアップ助成金や人材開発支援助成金など、要件を満たせば受給の可能性がある制度は複数存在します。ただし、事前に「有期雇用として採用→6か月後に正社員化」のように手順を踏む必要があるものが多く、後から遡って申請することはできません。採用計画を立てる段階でご相談いただければ、活用可能性のある制度をお伝えできます。
Q5. リモート勤務前提で採用する場合、雇用契約書に何を追加で書けばいいですか?
就業場所(自宅住所と、変更が生じた場合の届出ルール)、労災の適用範囲、通信費・光熱費の負担ルール、始業・終業時刻の連絡方法、勤怠管理の方法などを追加で明記します。フレックスタイム制や裁量労働制を導入する場合は、労使協定・届出も別途必要です。
ご不明な点や、ちょっとした疑問があれば、お気軽にご相談ください。どんな些細なことでも、まずはお話をお聞かせいただければと思います。
私たちKT社会保険労務士事務所は、経営者様の隣で一緒に考える伴走者として、細やかに寄り添うサポートを大切にしています。「先生」ではなく「頼れるパートナー」として、スタートアップの1人目の採用から、その先の「人を活かして、経営に力を」までを、外付けの人事労務チームのようにご一緒できれば幸いです。










