「先生」と呼ぶのはやめてほしい。

はじめてお客様から「田渕先生」と呼ばれた瞬間、正直、ちょっと固まってしまいました。

「先生……? わたし、先生じゃないんだけどな」と、胸の中で静かにつぶやいたことを、今でも覚えています。

それがきっかけで、自分がこの仕事を通じて本当に実現したいことが、ようやくはっきりと見えてきました。

「先生」ではなく「隣にいる人」でありたい

士業の世界には、独特の空気があります。

難しい言葉を並べて、法律を盾に「それはできません」「それは違法です」と言う。そういう仕事のスタイルが、業界の中ではむしろ当たり前だったりします。

でも、それがずっと違和感でした。

わたし自身、社会保険労務士法人に勤めていたとき、経営者の方から相談を受けるたびに思っていたことがあります。

「この方は、情報が欲しいんじゃなくて、一緒に考えてくれる人が欲しいんだ」と。

書類を作って、手続きをして、「終わりました」と報告する。それだけでは何かが足りない。現場で汗をかいている社長さんたちが本当に求めているのは、もっと手前にある、「どうすれば従業員に喜んでもらえるんだろう」という問いに一緒に向き合ってくれる誰かだと、感じていました。

「ありがとう」が、何よりのやりがいでした

実は、社労士になる前、わたしはCA(客室乗務員)をしていました。

その後、化粧品販売の仕事も経験して、最終的に社会保険労務士の資格を取りました。

「なんで急に社労士?」とよく聞かれます。

正直に言うと、最初から「社労士になろう」と決めていたわけではありませんでした。

ただ、どの仕事をしていても変わらなかったことがひとつあって。それが、「小さな気遣いで誰かが喜んでくれる瞬間」が、心から好きだということでした。

飛行機の中でお客様の様子をちょっと気にかけて、「大丈夫ですか?」と声をかける。すると、「ありがとう、嬉しかったわ」と言ってもらえる。

化粧品を提案するとき、その方の肌の状態や悩みを細かく見て、「あなたにはこれが合うと思います」と伝える。すると、「また来るね」と言ってもらえる。

その「ありがとう」が積み重なって、今のわたしがあるんだなと、今になって思います。

社労士の仕事でも、同じでした。

就業規則をひとつ整えただけで、「これで従業員に説明できる」「モヤモヤが解消された」と喜んでもらえる。助成金の制度をお伝えすると、「そんな仕組みがあったんですか!」と目を丸くしてもらえる。

「ちょっとやったことだけで喜んでもらえる」。それが、本当に好きでした。

独立を決意した日のこと

独立しようと決めたのは、あるお客様の言葉がきっかけでした。

名前は出せませんが、建設業を営んでいる社長さんで、労務の手続きで何度かやりとりをしていた方です。

ある日、ちょっとしたイレギュラーな相談を受けました。法律の条文をそのまま当てはめれば「難しいケース」でした。

でも、よく調べてみたら、別の角度から整理すれば対応できる方法がありました。

それを伝えたとき、その社長さんが言いました。

「田渕さんに相談して良かった。他の事務所に聞いたら、最初から『無理です』って言われてたから諦めてたんだよね。」

あの言葉が、胸に刺さりました。

「できません」で終わるのではなく、「こっちならできます」と返せること。それが当たり前のことのようで、意外と当たり前ではないということを、そのとき実感しました。

そして同時に、「わたしがやりたいのはこれだ」と思いました。

法律を守らせるための仕事じゃなくて、経営者の夢を実現するための仕事をしたい。そのためにも、型通りのやり方ではなく、その会社のオリジナルに合わせた提案ができる事務所を作りたい——そう思って、独立を決めました。

「KT」に込めた想い

事務所の名前を「田渕社会保険労務士事務所」にしなかったことには、理由があります。

士業の世界では、代表者の名前をそのまま事務所名にするのが一般的です。でも、わたしはそうしませんでした。

「KT」は、わたしのイニシャルです。田渕花純(Kasumi Tabuchi)のK とT。

でも、それだけではありませんでした。

将来、スタッフが増えたとき、「田渕さんの事務所」ではなく「みんなの事務所」にしたかった。一人ひとりが主役として活躍できる場所にしたかった。

それから、少し柔らかくて、新しさも感じられる名前にしたかったということもあります。

士業って、どうしても「堅い」「難しい」イメージがありますよね。でも、わたしが目指しているのは、もっとフラットで、話しかけやすい存在です。名前からも、そういう空気が出ればいいなと思っています。

中小企業の労務格差を、なくしていきたい

大企業と中小企業の間には、労務環境に大きな差があります。

大企業には専門の人事部があって、社員向けの福利厚生も整っていて、何かあればすぐに相談できる体制がある。でも中小企業、特に現場に出っぱなしの建設業の社長さんたちは、労務のことまで目が届かないことが多いのが現状です。

そこで働く方の生活、そしてその方の家族の暮らしも、会社の労務環境によって変わってきます。

わたしは、そこに真剣に向き合いたいと思っています。

「国の仕組みをうまく取り入れるだけで、会社は変わる」というのが、わたしの信念です。

特別なことをする必要はありません。すでにある制度を正しく活用するだけで、従業員の方が安心して働けるようになり、社長さんも本業に集中できるようになる。そのお手伝いをすることが、KT社会保険労務士事務所の使命だと思っています。

「深く長く関わる」こと

正直に言います。わたしは、たくさんのお客様を抱える事務所にするつもりはありません。

量より、質です。

一社一社と深く、長く関わりたい。「今月の手続き、終わりました」ではなく、「最近、会社の雰囲気どうですか?」と話せる関係性を大切にしたい。

だからこそ、新しいご依頼をお受けする際は、事前にご面談をさせていただいて、お互いに「この方とならうまくやっていけそうだ」と思えた上でのご契約をお願いしています。

これは、敷居を高くしたいわけではありません。

むしろ逆で、「この事務所、合わなかった」とお互いに思いながら続けるより、本当に力になれる方に、全力を注ぎたいと思っています。

わたしが目指すのは、「いつも助かってるよ、ありがとう」と自然に言ってもらえる関係です。先生でも専門家でもなく、「頼れるパートナー」として、経営者の方の隣で一緒に考え続けること。

それが、KT社会保険労務士事務所が大切にしていることです。

おわりに——あなたの「ありがとう」が聞きたくて

創業してから、「士業ってもっとフランクに相談できると思っていなかった」と言ってくださるお客様が、少なくありません。

嬉しい言葉だなと思いつつ、少し寂しくもあります。

もっと気軽に、「こんなこと聞いてもいいのかな」くらいの感じで、労務の話ができる世の中になったらいいなと、思っています。

どんな些細なことでも、「うちの会社、こういう状況なんですが……」という話から、何かが変わることがあります。

もしあなたの会社に、労務のことでちょっと気になることがあれば、ぜひ一度お話しさせてください。

一緒に、考えましょう。

KT社会保険労務士事務所へのご相談は、お気軽にどうぞ。 どんなご質問も、丁寧にお受けします。

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